FILMS|公開作品

サッドヒルを掘り返せ

Sad Hill Unearthed

監督:ギジェルモ・デ・オリベイラ/出演:セルジオ・レオーネ、エンニオ・モリコーネ、クリント・イーストウッド/2017年/スペイン/ドキュメンタリー/88分 東京国際映画祭共催

マカロニ・ウエスタンの名作『続・夕陽のガンマン』が公開されてから約50年。映画を愛するファンのグループは、クライマックスのロケ地となったスペインの荒野を訪れる。彼らは変わり果てた“Sad Hill墓地”を撮影当時の状態に戻すため掘り起こし始める。故セルジオ・レオーネ監督や音楽を手掛けたエンニオ・モリコーネ、主演のクリント・イーストウッド等のインタビュー映像のほか、同映画の名曲をライヴの登場曲にしている世界的ヘビメタバンド、メタリカのジェイムズ・ヘットフィールドが映画の魅力を熱く語る。伝説の名シーンを愛するファンの熱意が聖地再生の奇跡を生む感動のドキュメンタリー。

サマ

ZAMA

監督:ルクレシア・マルテル/出演:ダニエル・ヒメネス・カチョ、ロラ・ドゥエニャス、マテウス・ナシュテルゲーレ/2017年/アルゼンチン・ブラジル・スペイン・フランス・メキシコ・米国・オランダ・ポルトガル・スイス・レバノン/ドラマ/115分

18世紀、南米の未開の地へ派遣されたスペインの将校サマは、国王からの異動命令が記された通知を心待ちにしていた。だが彼の元に通知は届かず、悶々と孤独な日々を送る。未来に絶望したサマは、危険な山賊を追う民兵と行動を共にし始める。アルゼンチンの作家アントニオ・ディ・ベネデットによって1956年に書かれた同名小説を『頭のない女』(LBFF2008出品)のルクレシア・マルテル監督が映画化。メキシコの名優ダニエル・ヒメネス・カチョをはじめ、スペイン、ブラジル等、各国の個性派俳優が出演。製作総指揮はディエゴ・ルナ、ガエル・ガルシア・ベルナル等が務めている。

7日目

En el séptimo día

監督:ジム・マッケイ/出演:フェルナンド・カルドナ、ヒルベルト・ヒメネス、アベル・ペレス/2017年/米国/ドラマ/97分

ニューヨークのブルックリンで暮らすメキシコ系移民のホセは、週6日、自転車で配達の仕事をしている。唯一休める7日目の日曜には、草サッカーチーム「プエブラ」の仲間達とサッカーを楽しむのが日課だ。ある日ホセは、上司から大事な試合のある日曜の出勤を命じられる。さらにメキシコに残してきた身重の妻が移住してくることに。サッカー、妻、そして仕事…。すべてが大事なホセは思い悩む。ニューヨークで暮らす移民たちの日常をリアルに切り取ったドキュメンタリータッチの人間ドラマ。監督は人気TVドラマ『グッド・ワイフ』『MR. ROBOT』等のジム・マッケイ。

サミット

La cordillera

監督:サンティアゴ・ミトレ/出演:リカルド・ダリン、ドロレス・フォンシ、エレナ・アナヤ/2017年/アルゼンチン・スペイン・フランス/スリラー/114分

舞台はチリの雪山に囲まれたリゾート地。南米首脳会談に出席したアルゼンチン大統領ブランコは、政治の重大な決断と家族の問題の間で苦悩する…。2017年のカンヌ国際映画祭ある視点部門出品作。監督は『エストゥディアンテ』(LBFF2012出品)、『パウリ-ナ』(LBFF2015出品)等が各国の映画祭で高い評価を得たサンティアゴ・ミトレ。アルゼンチンの名優リカルド・ダリンはじめ、『私が、生きる肌』(LBFF2011出品)のエレナ・アナヤ、『グロリアの青春』(LBFF2013出品)のパウリナ・ガルシア等、各国のスター俳優が勢ぞろいした本格的社会派サスペンス。

チャベーラ

CHAVELA

監督:キャサリン・ガンド、ダレシャ・キイ/出演:チャベーラ・バルガス、ペドロ・アルモドバル/2017年/米国・メキシコ・スペイン/ドキュメンタリー/90分

十代でコスタリカからメキシコに渡ったチャベーラ・バルガスは、50年代に男装で歌う異端の歌手として脚光を浴びる。テキーラとタバコを愛したメキシコ歌謡の女王チャベーラは、エリザベス・テイラーの結婚式で歌を披露するなどハリウッドでも人気となる。またメキシコを代表する画家フリーダ・カーロと共に暮らし、フリーダから「天からの贈り物」と称された。アルコール依存症を克服後は、ペドロ・アルモドバルが彼女の歌を映画に採用し、コンサートをプロデュースしたことでも知られている。2012年に93歳で亡くなるまでのドラマチックな彼女の人生と、哀愁漂う力強い歌の魅力に迫ったドキュメンタリー。

ホーリー・キャンプ!

La llamada

監督:ハビエル・カルボ、ハビエル・アンブロッシ/出演:マカレナ・ガルシア、アンナ・カスティーリョ、ベレン・クエスタ/2017年/スペイン/ミュージカル/109分

歌が大好きな十代の女の子マリアとスサナは教会のサマーキャンプに参加する。キャンプには古い慣習を守ろうとするシスターや、本心をさらけ出せない内気なシスター、ミラグロスがいた。マリアとスサナは堅苦しい教会の規律に反抗し…。ホイットニー・ヒューストンのヒット曲や若者に人気のポップミュージックを通じて、十代の若者の恋と友情を描いた青春ミュージカル。『ブランカニエベス』(LBFF2013出品)のマカレナ・ガルシア、『オリーブの樹は呼んでいる』(LBFF2016出品)のアンナ・カスティーリョなど、スペインの人気女優が多数出演。2013年にマドリードで初演し大ヒットしたミュージカルの映画版である。

ベル・カント

Bel Canto

監督:ケヴィン・ニューベリー/出演:ダニエル・ドゥ・ニース、チャ・ジョンチョル、ジェナイ・ブリッジス/2015年/米国/オペラ/180分(予定)

南米のある国で開かれたパーティー会場が反政府ゲリラに占拠され、主賓である日本企業の社長やゲストとして招かれた著名なオペラ歌手らが人質となる。長い膠着状態の中、ゲリラと人質との緊張関係に少しずつ変化が生まれる。1996年に起こった在ペルー日本大使公邸占拠事件をヒントに書かれたアン・パチェットの小説が原作のオペラを映像化。キューバ系アメリカ人でピュリツァー賞受賞劇作家ニロ・クルスとペルー出身の作曲家ジミー・ロペスが手掛け、米国で高い評価を得た。歌曲は英語、スペイン語、日本語、そしてペルー先住民族の言語であるケチュア語など多言語で歌われている。

J:ビヨンド・フラメンコ

Jota de Saura

監督:カルロス・サウラ/出演:サラ・バラス、ミゲル・アンヘル・ベルナ、カルロス・ヌニェス/原題:JOTA de Saura/英題:J:Beyond Flamenco /2016年/スペイン/ドキュメンタリー/90分 配給:レスペ

スペイン映画の巨匠カルロス・サウラ(『フラメンコ・フラメンコ』)はスペインのフラメンコ、アルゼンチンのタンゴ、そしてポルトガルのファドというように、各国の伝統音楽・舞踊にスポットを当て、数々の名作を送り出してきた。そのサウラ監督が今回選んだのはスペイン北東部の民俗舞踊「ホタ」。若きダンサーから老齢の男女の踊り、サラ・バラス、ミゲル・アンヘル・ベルナといったフラメンコの名ダンサーの妙技、そしてガイタ(ガリシアン・バグパイプ)奏者カルロス・ヌニェスの名演奏etc…。音とステップ、独特の映像美を絶妙に組み合わせた極上のダンス&音楽エンターテインメントである。

©TELEFONICA STUDIOS, DTS, TRESMONSTRUOS MEDIA, TRESMONSTRUOS PC, ARAGÓN TELEVISIÓN

Most Beautiful Island

 

監督・出演:アナ・アセンシオ/出演:ナターシャ・ロマノヴァ、デビッド・リトル/2017年/米国/スリラー/80分

若い女性ルシアナは、過去の辛い出来事から逃れるためニューヨークで新しい生活を始める。だが不法移民のルシアナが出来る仕事は限られており生活は苦しい。そんな時、ロシア系移民でバイト仲間のオルガから、破格の報酬を手にできる秘密のパーティーに誘われる…。16ミリカメラで盗撮されたかのようなドキュメンタリータッチのカメラワークで、危険に晒された女性の不安感をあぶり出すエロティック心理スリラー。スペイン出身の女優アナ・アセンシオが監督・主演を務めている。

ネルーダ 大いなる愛の逃亡者

NERUDA

監督:パブロ・ラライン/出演:ルイス・ニェッコ、メルセデス・モラーン、ガエル・ガルシア・ベルナル 他 原題:NERUDA 2016/チリ・アルゼンチン・フランス・スペイン/108分 配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES

チリの国民的詩人で共産党員のパブロ・ネルーダは、1948年に成立した独裁政権から迫害を受け、地下に潜伏する。ネルーダの逮捕を命じられた刑事は、彼を追跡するうちにネルーダの詩の魅力に強く吸い寄せられていく…。ネルーダと彼を執拗に追う刑事の実話を大胆に脚色した異色のサスペンス。ノーベル文学賞受賞作家パブロ・ネルーダは日本でも大ヒットしたイタリア映画『イル・ポスティーノ』の老作家のモデルとしても知られている。監督は『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』『NO』(LBFF2013出品)のパブロ・ラライン監督。ネルーダを追う刑事をガエル・ガルシア・ベルナルが演じている。

©Fabula, FunnyBalloons, AZ Films, Setembro Cine, WilliesMovies, A.I.E. Santiago de Chile, 2016

家族のように

Una especie de familia

監督:ディエゴ・レルマン/出演:バルバラ・レニー、ダニエル・アラオス、クラウディオ・トルカチル/2017年/アルゼンチン・ブラジル・ポーランド・フランス・デンマーク/ドラマ/90分

ブエノスアイレスに住む38歳の医師マレナは、ある午後コスタス医師から「北部の村で赤ん坊が生まれようとしている。すぐ向かってくれ」との電話を受ける。マレナはアルゼンチン北部の寒村へ向かう決心をするが…。子供の誕生という出来事を通じ、道徳心やモラルとの葛藤に直面する一人の女性医師の姿を描いたサスペンスタッチの心理ドラマ。主演は日本でも大ヒットしたスペイン映画『マジカル・ガール』のバルバラ・レニー。『ル・コルビュジエの家』のダニエル・アラオスら個性派俳優が脇を固める。監督はデビュー作『ある日、突然。』が各国で絶賛されたディエゴ・レルマン。

スキン~あなたに触らせて~

Pieles

監督:エドゥアルド・カサノバ/出演:カンデラ・ペニャ、アナ・ポルボロサ、カルメン・マチ/2017年/スペイン/ドラマ/77分

生まれつき両目のないラウラはピンクに彩られた娼館で、子供の時から客の相手をさせられている。人と違った口を持つサマンサは街でチンピラに絡まれ、人より背の低いバネッサは人気キャラクターの着ぐるみタレントとして働き詰めの毎日を送っている。一方、外見は健常者のクリスティアンは「自分の脚を切断したい」という衝動が抑えきれずにいた…。身体の一部が他人とは違う人間たちの悲哀に光を当てた異色のダークコメディ。『スガラムルディの魔女』(LBFF2014出品)のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督とカロリーナ・バング夫妻がプロデュースを務めている。

ドス・オリエンタレス

Dos Orientales

監督:ソフィア・コルドバ、ソフィア・カサノバ/出演:ウーゴ・ファトルーソ、ヤヒロトモヒロ(八尋知洋)/2014年/ウルグアイ・日本/ドキュメンタリー/70分

ウルグアイを代表する南米最高峰のミュージシャン、ウーゴ・ファトルーソは、日本のパーカッショニストであるヤヒロトモヒロと2007年にデュオ「Dos Orientales」を結成し、ライヴツアーを続けている。「Dos Orientales」とは、欧州からみた東洋人ヤヒロと、南米の中での東方人(ウルグアイの正式名称はウルグアイ東方共和国)であるウーゴ、二人の出会いを意味している。日本と南米のトップミュージシャンが奏でる変幻自在の音楽と、二人の魅力に迫った極上の音楽ドキュメンタリー。

カルメン故郷に帰る

 

監督:木下惠介/出演:高峰秀子、小林とし子、笠智衆/1951年/日本/コメディ/86分

リリィ・カルメンという名でストリッパーをしているおきんが、東京から踊り子の仲間を連れて故郷の村へ里帰りしてきた。のどかな田園風景に似合わない派手な姿や立ち振る舞いに、おきんの家族や村の人々は戸惑いを隠せない。だが自分たちは成功者で芸術家、と言い張る踊り子たちは、村でストリップ公演を開催すると言い出す。カルメンとその仲間たちがのどかな村で引き起こす騒動をコミカルに描いた傑作コメディ。日本映画黄金期を支えた木下惠介監督と名女優・高峰秀子の初コンビ作。日本映画初の記念すべきカラー長編映画で、NHK映画ベストテン第1位、日本映画文化賞などを受賞している。